Duchenne型筋ジストロフィー症成人患者の開閉口筋機能の変化と顎顔面骨格形態の変化との関係について

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  • Longitudinal relationship between masticatory muscle function and craniofacial morphology in adult patients with Duchenne muscular dystrophy

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抄録

Duchenne型筋ジストロフィー症(DMD)患者では, 筋の機能低下に伴って特異的な咬合の悪化が認められる.そこで思春期成長がほぼ終了したDMD患者について, その咀嚼筋機能と顎顔面形態の変化の特徴, および機能変化と形態変化との関連性を見出す目的で本研究を行った. のDMD男性患者10名( )を対象とし, 最大噛みしめ時の咬筋, 最大開口時の顎二腹筋前腹の表面筋電図(EMG), および側面セファロを経年的に採得した.EMGにおいては, 周波数分析から各筋の機能評価としてmedian周波数を算出, 両筋の平衡性の評価としてLissajous図形分析を行い, 側面セファロから形態分析を行った.これらをもとに形態変化の特徴を調べると共に, 機能変化と形態変化との相関を算出した.形態変化の特徴として上顎前歯の挺出が認められ, また下顎の後下方回転が推察された.相関分析からは顎二腹筋と比較して咬筋機能が下がるほど下顎角は開大し, 下顎骨体長, 下顎枝傾斜角は小さくなることが示唆された.すなわち咬筋機能の低下により下顎角部, 特に後縁での骨吸収が旺盛な状態となり, これらの変化を引き起こしたと考えられる.また横断資料による前回の報告と同様に, 口蓋平面角は咬筋機能と, 前下顔面高, 下顎前歯軸は咬筋と顎二腹筋のバランスと関連を示し, 機能との関連性が非常に高い部位と考えられる.これらの結果から, 咀嚼筋機能などの環境要因は骨格的, 歯槽的変化を起こすと考えられ, 筋機能をコントロールすることによって, 異常な顔面形態の改善や, 矯正, 外科矯正治療後の維持安定を図れる可能性を示唆するものと考えられる.

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参考文献 (29)*注記

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