NaF溶液およびNH_4F溶液の濃度の差によるエナメル質表面への影響

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  • Effect of NaF and NH_4F Solutions on Intact Enamel Surface

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抄録

NaF溶液およびNH_4F溶液の濃度の差によるエナメル質への作用メカニズムの違いを検索する目的で,intact enamelにフッ素濃度100ppm,および900ppmの各溶液を作用させた。エナメル質表面の形態観察は走査型電子顕微鏡(SEM),物質同定は電子線マイクロアナライザ(EPMA)による元素分析ならびに状態分析により行った。その結果,SEMにより両溶液群の900ppm作用のエナメル質表面に顆粒状物質の沈着が観察された。EPMAによる元素分析から,顆粒状物質はフッ素およびカルシウム濃度が高く,リン濃度が低いことが認められ,濃度比から考えてCaF_2であることが示唆された。顆粒状物質はNaF群よりNH_4F群のほうが径が大きく,フッ素濃度,カルシウム濃度も高く,NH_4F群のほうがCaF_2生成量が多いことが認められた。EPMAによるエナメル質の表面の状態分析では,両溶液群ともに100ppm作用でFA,900ppm作用ではフルオロアパタイト(FA)とCaF_2が確認された。状態分析から見積もったフッ素取り込みは,100ppm作用ではNaF群のほうが,900ppm作用ではNH_4F群のほうが高い値を示し,作用溶液および濃度により取り込みの傾向が異なることが認められた。以上のことから,フッ素濃度100ppmおよび900ppmのNaF溶液ならびにNH_4F溶液のエナメル質への作用メカニズムは異なることが確認された。また,NH_4Fはフッ化物洗口液あるいはフッ化物配合歯磨剤に応用して,NaFと同程度の効果が期待できることが示唆された。

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