高齢者の保有歯数と咀嚼能率

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  • Retained Tooth Number and Masticatory Ability in Elderly Subjects

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抄録

高齢者住民の口腔内状況,特に保有歯数状況と咀嚼能率との関係を明らかにするために,岐阜県Y町に住む60歳台から70歳台の住民のうち,男性82名,女性95名,合計177名について保有歯数状況を調査し,あわせてピーナッツを用いて咀嚼能率を測定した。その結果, 1)年齢とともに保有歯は減少し,咀嚼能率も減少した。2)女性の保有歯数は,加齢とともに男性よりも急速に減少する傾向があった。3)保有歯数と咀嚼能率との相関は,女性より男性のほうが強かった。4)保有乗数が多いほど咀嚼能率が高かった。5)前歯部より,小臼歯部,および大臼歯部において保有歯数と咀嚼能率との相関係数が高かった。6)咀嚼能率に対して小臼歯部と大臼歯部では,相関係数は同様な水準であった。7)可撤性,もしくは非可撤性の補綴歯数が増加すると,自己の歯よりも咀嚼能率が減少する傾向がみられた。8)Eichner Indexと咀嚼能率間の相関は,保有歯数と咀嚼能率間の相関と近似していた。9)1歯対2歯の咬合関係については,保有歯数が多い者は補綴歯数の多い者よりも咀嚼能率との間の相関係数が高かった。 以上から,高齢者がよりよい咀嚼能率を維持するためには,大臼歯と小臼歯の保有歯数の減少を予防することが大切な要素だと結論できた。

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