乳歯う蝕多発傾向児スクリーニングシステム導入による地域う蝕予防管理プログラムの成果

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  • The Evaluation of a Community-based Preventive Program for Deciduous Caries with Introduction of a Method of Screening High-risk Children

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抄録

う蝕罹患リスクの高い小児(う蝕多発傾向児)に焦点をあわせた乳歯う蝕予防管理プログラムについて,地域歯科保健施策の視点で評価を行った。調査対象は平成2年4月から平成6年3月の間に,1歳6ヵ月見健診,3歳6ヵ月見健診の双方を受診した1,954名である。1歳6ヵ月見健診時に対象集団をテスト群とコントロール群の2群に分けた後,判別関数を用いて,う蝕多発傾向児のスクリーニングを行い,T-High群・T-Low群,C-High群・C-Low群の4群に分類した。予防管理プログラムはフッ化物歯面塗布を中心とした内容とし,T-High群については3ヵ月ごとのプログラムを,T-Low群およびC-High群・C-Low群については6ヵ月ごとのプログラムを設定した。またT-High群に対してのみ個人通知によりプログラム参加を勧奨した。その結果,Δdmfs(1歳6ヵ月から3歳6ヵ月までのdmfs増加量)は,T-High群がC-High群より33.7%,テスト群全体ではコントロール群全体より16.8%,それぞれ統計学的に有意に減少した。一方,T-High群とT-Low群のΔdmfsに有意差は認められなかった。また,フッ化物歯面塗布を少なくとも6ヵ月ごとに受療した塗布継続群の占める割合は,T-High群(41.2%)がC-High群(6.3%),T-Low群(24.0%)より有意に高かった。以上より,う蝕多発傾向児に対する予防管理プログラムによって,多発傾向児のう蝕が抑制され,非多発傾向児との較差が縮小しうることが示され,T-High群に生じたう蝕の減少がテスト群全体のう蝕有病状況をコントロール群全体と比較して有意な改善へと導くことが示された。

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