Porphyromonas gingivalisのピロリン酸依存型ホスホフルクトキナーゼ遺伝子のクローニング,遺伝子発現および性状解析について

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  • Cloning, Expression, and Characterization of Pyrophosphate-Dependent Phosphofructokinase Gene from Porphyromonas gingivalis

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抄録

Porphyromonas gingivalisは,グラム陰性嫌気性桿菌であり,一般に糖分解を行わない細菌として知られている。今回P. gingivalis381株におけるピロリン酸依存型ホスホフルクトキナーゼ(PPi-PFK)をコードする遺伝子(PgPFK)のクローニング,塩基配列の決定,および遺伝子発現を行い,その性状解析を行った。PgPFKは1,650bpからなり,550アミノ酸,分子量61,044 Da,等電点5.52,二量体のタンパクであることが明らかとなった。ホモロジー検索の結果,解糖系のkey enzymeであるPFKのうち,62kDa Borrelia burgdorferi PFK (50%),Treponema pallidurn β-subunit(52%),などのPPi-PFKと高い相同性を示した。アミノ酸配列を詳細に比較検討したところ,PPi-PFKに共通して認められるモチーフ(GGDD,TIDXD,MGR)およびbinding sitesのほとんどが保存されていることが明らかとなった。また塩基配列をもとにPFKの分子系統樹を作製したところ,PFKは4群に分類されることが確認され,PgPFKは60〜62 kDaの分子量をもつlong sequence typeに属し,それらはcoherentなclusterを形成していることが明らかとなった。PgPFK遺伝子を組み込んだプラスミド(pET 21 a-PgPFK)を構築し,E. coli BL 21(DE3)株を用いて組み換えPgPFKの発現誘導および精製を行い,得られた精製タンパクの性質を調べた結果,ほかのPPi-PFK同様,fructose 6-phosphate からfructose 1,6-bisphosphateへの反応は可逆的であること,PFK活性はMs^<2+>依存性でありATPやfructose 2,6-bisphosphate等の影響を受けないことが明らかとなった。またRT-PCR分析を行い,PgPFK遺伝子がmRNAレベルで発現していることを確認した。以上の結果からPgPFKが典型的なPPi-PFKに属し,その性質もいままでに報告されているPPi-PFKと非常に類似していることが明らかになった。糖新生系の一酵素であるfructose 1,6-bisphosphataseがP. gingivalisの遺伝子データベース上に検索されないことからPgPFKがその代役を果たしている可能性が考えられる。

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