刺激唾液流量とHLA class II対立遺伝子型頻度との関連について

  • 千葉 潤子
    東北大学大学院歯学研究科発達加齢・保健歯科学講座予防歯科学分野
  • 小澤 雄樹
    東北大学大学院歯学研究科発達加齢・保健歯科学講座予防歯科学分野
  • 坂本 征三郎
    東北大学大学院歯学研究科発達加齢・保健歯科学講座予防歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The Association of Stimulated Salivary Flow Rates with HLA Class II Allele Frequencies

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抄録

ヒトの唾液分湯量は種々の全身性疾患により影響されるが,これらの疾患に対する罹患性はヒト白血球抗原(HLA)のクラスII遺伝子の多型により影響されることが知られている。そこで,この研究の目的はHLAの遺伝子型が唾液分泌量に影響するのか否かを調べるために,唾液分泌量とHLA対立遺伝子型の発現頻度との相関を明らかにすることである。HLA-DRB1,HLA-DQA1,HLA-DQB1の各対立遺伝子型を,親戚関係にない日本人105名(男性78名,女性27名),平均年齢20.5歳(18〜28歳)の健康な青年を被験者とし,ポリメラーゼ連鎖反応一シークエンス特異性オリゴヌクレオチドプローベ法(PCR-SSOP)を用いて分析した。パラフィンワックスでの刺激唾液量を測定し,被験者を各々0.7ml/min 以下,0.7〜2.0ml/min,2.0ml/min以上の3群に分類した。0.7ml/min以下群でのHLA-DRB1*0901,HLA-DQA1*0301,HLA-DQB1*0303の対立遺伝子頻度は2.0ml/min以上群のそれらに比較して統計学的に有意に高かった(各々p=0.015,OR=6.33;p=0.0053,pc=0.042,OR=14.17;p=0.0062,OR=7.92)。これに対して,2.0ml/min以上群のHLA-DRB P0802,HLA-DRB1*1302,HLA-DRB1*1501,HLA-DQA1*0102の対立遺伝子頻度は0.7ml/min 以下群に比較して統計学的有意に高かった(各々p=0.04;p=0.04;p=0.04;p=0.0024,pc=0.019,OR=0.06)。以上の結果から,HLAクラスII対立遺伝子,もしくはこれに連鎖している遺伝子が唾液分泌に関与していることが示唆された。

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参考文献 (66)*注記

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