岩手県85歳追跡調査より85歳における口腔内気体のVSCについて : 実態と口腔内診査所見との関連

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  • Survey of 85-year-old Subjects in Iwate Prefecture : Relationship between Volatile Sulfur Compounds in Mouth Air and Oral Health Status

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抄録

岩手県盛岡保健所管内11市町村において,85歳を対象に,口腔内気体における揮発性硫黄化合物(VSC)濃度の実態および口腔内診査所見との関連を検討した.168名を対象に,舌苔の付着状態の視診(舌苔スコア)と口腔内気体のVSC濃度測定を行った.VSC濃度測定には,口臭測定器Oral ChromaTMを使用した.有歯顎者に対しては,歯と歯周組織の状態も診査した.その結果,H2S濃度が嗅覚閾値(112ppb)以上の者は11%,CH3SH濃度が嗅覚閾値(26ppb)以上の者は28%,H2S濃度またはCH3SH濃度が嗅覚閾値以上の者は33%であった.無歯顎者でH2S濃度が嗅覚閾値以上の者の割合は,舌苔スコア2,3の者では11%と,スコア0,1の者の0%よりも高い傾向を示した.有歯顎者でCH3SH濃度が嗅覚閾値以上の者の割合は,CPI重度歯数が1本以上の者では55%と,0本の者の27%よりも有意に高かった.また,無歯顎者ではH2S濃度と舌苔スコアのSpearman順位相関係数が0.48,有歯顎者ではCH3SH濃度とCPI重度歯数の係数が0.30と両者とも有意であった.そして,多重ロジスティック回帰分析により,無歯顎者におけるH2S濃度の嗅覚閾値に関係する要因として舌苔スコアが,有歯顎者におけるCH3SH濃度の嗅覚閾値に関係する要因としてCPI重度歯数が選択された.これらのことから,無歯顎者のH2S濃度には舌苔の付着状態が,有歯顎者のCH3SH濃度には歯周組織の状態が関連すると認められた.

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