遠心力がチタン板上で培養したヒト口腔組織由来細胞の増殖とアルカリフォスファターゼ活性に及ぼす影響について

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  • Effects of centrifugal forces on proliferation and alkaline phosphatase activity of human oral-tissue-derived cells cultured on titanium plates

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抄録

本研究では成人外科矯正患者より同意を得て採取した下顎皮質骨由来の骨系細胞と下顎小臼歯由来の歯根膜細胞をチタン板上で培養し, 毎分0, 50, 150, 250回転すなわち1.0G, 1.4G, 3.7G, 9.1Gに相当する遠心力を付与した際の両細胞の増殖能(DNA量)と細胞分化の一指標としてのアルカリフォスファターゼ(ALP)活性について比較検討した.実験には滅菌洗浄後の純チタン板を24穴カルチャープレートに置いた実験群とチタン板なしの対照群を設定し, 継代5代目の両細胞(10^4個)を播種し, 4日間の前培養の後, 卓上遠心機により上記の遠心力を持続的および間欠的(20分/12時間)に付与して3日間培養し, 終了後の細胞を用いDNA量とALP活性を測定した.その結果, 全体的に骨系細胞は歯根膜細胞に比べDNA量では低く, ALP活性では高かった.遠心力付与による両細胞のDNA量, ALP活性は実験群(チタン板あり), 対照群(チタン板なし)ともに共通の傾向が認められた.すなわち, 骨系細胞の持続的遠心力(CCF)では低回転(50rpm)で, 間欠的遠心力(ICF)では高回転(250rpm)で増加し, 歯根膜細胞のCCFでは中回転(150rpm)で, ICFでは高回転で増加した.実験群は対照群に比べ, ほとんどの実験条件において両細胞のDNA量とALP活性が僅かに減少する傾向であるが, 骨系細胞では有意な低下は認められず, 歯根膜細胞の一部の条件で有意な低下を認めた.ただし骨系細胞のALP活性だけはすべての遠心力の条件下で対照群より高く, 特にCCFの50rpmで顕著であった.これらの結果より, チタン板の存在下で遠心力を負荷した骨系細胞は, 増殖能は不変であるが, ALP活性が亢進することが示され, 従来よりいわれている「骨芽細胞はチタンとの親和性が良好である」との見解が, 遠心力というメカニカルストレス付与時においても支持される可能性が伺われた.

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