実験的歯の移動時に起こる骨膜側の歯槽骨の改造に関する組織学的研究

  • 曹,〓
    Department of Orthodontics, School of Dental Medicine, Tsurumi University

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タイトル別名
  • A histologic study of the alveolar bone remodeling on the periosteal side incident to experimental tooth movement

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抄録

歯の移動の際の骨膜側においての経時的な細胞および骨の適応変化に関して光学顕微鏡学的および電子顕微鏡学的に, さらに鉛塩時刻描記法を用いて研究した.ラットの上顎臼歯を固定式装置を用いて1-21日間口蓋側に移動させた.骨膜側の細胞および骨の組織変化は歯槽骨の限局した部分のみで観察された.頬側の骨膜側では, 1日目で, 骨膜細胞が局所的に壊死し, 骨膜表面骨の露出がみられた.3日目からは骨表面での直接性骨吸収が起こり, 14日目に骨形成への転換がみられた.頬側の骨改造の過程中, 単核細胞によって仲介されたカップリング現象が吸収一添加期の各誘導段階に観察された.口蓋側の骨膜側では, 3日目に顕著な骨膜細胞の増加がみられ, 骨芽細胞が重層を成して並んでいた.新生骨は骨表面に隣接する骨芽細胞によって既存の骨に沿って形成されたが, 背後に配列していた骨芽細胞の周囲には骨形成がみられなかった.鉛塩時刻描記法では, 鉛のラベルが実験群で厚く描記されmineralization-lag timeが短縮されたのが示唆された.この結果は背後に配列していた骨芽細胞による補強的な石灰化活動が加わったものと思われる.歯の移動時, 矯正力によって歯肉線維および骨膜線維が圧縮・牽引された結果, 骨膜側での骨吸収および骨添加の骨改造が頬側・口蓋側のそれぞれの異なる部分で同時に生じていた.

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