妊婦の不安が産褥早期の母子関係に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of maternal antenatal anxiety on the mother-infant relationship

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抄録

本研究の目的は妊娠期の母親の不安が出産後の母子関係に及ぼす影響を明らかにすることである.A大学病院産科外来通院中の妊婦を対象に, 妊娠初期, 中期, 末期と縦断的にState-Trait Anxiety Inventory(以下STAI) Form-Y日本語版を用いて質問紙調査を実施した.さらに出産後, 30組の母子に対して産褥3-4日に, 母親への質問紙調査および授乳場面の行動観察を実施した.質問紙には, 母親の認知する新生児行動と養育自信の評価尺度であるMother and Baby Scale (Wolk et al, 1987), 授乳場面の母子行動観察の評価にはPrice (1983)のAssessment Mother-Infant Sensitivity Scale日本語版を用いた.産褥早期の母親の認知評価および母子の行動観察を従属変数, 妊娠各期の状態・特性不安を独立変数に重回帰分析をした結果, 妊娠中期の特性不安は産褥早期の新生児や母乳育児に対する母親の認知評価に影響を及ぼしていた.また, 妊娠中期の状態不安は, 産褥早期の新生児行動に寄与していた.以上より, 妊娠期における妊婦の不安が産褥早期の母子関係に影響を与えていることが推測され, 妊娠中期に不安の高い妊婦に注目していくことの重要性が示唆された.

収録刊行物

  • 女性心身医学

    女性心身医学 10 (3), 154-162, 2005

    一般社団法人 日本女性心身医学会

被引用文献 (2)*注記

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