気管支断端型アスペルギルス症の臨床的および内視鏡的検討

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タイトル別名
  • Evaluation of Aspergillosis Located at Sites of Surgical Bronchial Anastomosis

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抄録

肺切除後, 気管支鏡により気管支断端の状態を観察しえた178例中, 8例において断端にアスペルギルス属の菌塊の付着がみられた。縫合糸は全例でタイクロン糸が使用されていた。本症の発生頻度は4.5%であった。手術後本症診断までの期間については, 6カ月以内の症例はみられず, 発生部位では上葉気管支断端にもっとも多くみられた。診断法に関しては, 気管支鏡下採取では8例全例に菌塊を証明しえたが, 喀痰培養およびゲル内沈降反応による抗アスペルギルス抗体の陽性例はそれぞれ1例のみで診断的価値は低いと考えられた。気管支鏡所見では, 気管支断端に限局した壊死性塊状物または壊死性付着物として認められ, 肉眼的に肺癌の断端再発と鑑別可能と考えられた。無治療で, 気管支鏡により経過を観察しえた6例中4例に病変の縮小を認め, 少なくとも悪化例はみられなかった。以上より, 本症は良性の局所的な疾患であり, 本症の診断には気管支鏡検査がもっとも有用と考えられた。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 11 (2), 120-125, 1989

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (2)*注記

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