On verna system in India

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抄録

インドにおけるヴァルナ制度はヒンドゥー教にまつわる身分制度である。バラモンより遥か昔の3000年ほど前に来たインドのアーリア人は、ヨーロッパ系の白色人種系であった。彼らは先住民族(ドラヴィダ族)を滅ぼして、verna(ヴァルナ)という身分制度を作り上げた。ヴァルナとは「色」を意味し、それは肌の色による身分の上下差別であった。当然、支配者であり、肌色も白い自分たちを上位におき、被支配民族を下にした。その後アーリア人の中でも社会的機能(仕事)による区分ができた。即ち宗教儀礼を専門とするバラモン(Brahmana司祭)を最上位に、軍事・政治を司るクシャトリア(Ksatriya, Rajanya王族、武士)、商工業活動に従事するヴァイシャ(Vaisya平民)、その下には被支配民族のシュードラ(Sudra 奴隷)という4つの階級を作り上げた。この古代的身分制度が、インドのカースト制度の基本となっており、やがてこの枠中から、ヴァイシャ、シュードラはそれぞれの職業別にさらに細分化されてゆき、2000とも、あるいはそれ以上ともいわれる多数の区分が、中世的身分制度として固定化されていった。この区分は、職業を生まれたときから世襲化するものなので「生まれ」を意味するjati(ジャーティ)1と呼ばれているもので、これがインドのヒンデゥー社会では、非常に強い影響力を持って、人々を束縛し、社会の掟の基礎をなしている。一度決められたカーストはどんなに努力をしてみてもそこから決して抜け出せないのである。 カースト(ポルトガル語で血統を表す)制度で特に問題とされるのはシュードラより低位とされる、いわゆる不可触民2(アチュード、アンタッチャブル、ハリジャンとも呼ばれる)の存在でである。カースト内の位置すら与えていないこの不可触民の人たちは、触れただけ(あるいは目にしただけ)でも穢れるものとして、カースト・ヒンドゥーから差別されてきた。1億人(インドの人口が約9億人)近くいるといわれるこのアチュードは、社会の底辺で大きな労働力を提供しているのに、社会的地位は非常に低いままである。 こうしたヴァルナに基づくカースト制度の由来とジャーティ及び不可触民の実態を明らかにしたい。

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