社会保障と公共事業による就業誘発効果 : 産業連関分析による検討

書誌事項

タイトル別名
  • シャカイ ホショウ ト コウキョウ ジギョウ ニ ヨル シュウギョウ ユウハツ コウカ サンギョウ レンカン ブンセキ ニ ヨル ケントウ

この論文をさがす

抄録

財政問題や環境問題の先鋭化、少子高齢化による社会保障制度の改革が進む中で、国や地方自治体の財政運営は公共事業型から社会保障型ヘシフトしつつある。本研究では、地方部(和歌山県)と都市部(埼玉県)を対象とし、産業連関分析を用いて公共事業部門と社会保障部門の就業誘発効果を計測した。第1の課題として、公共事業部門、社会保障部門における就業誘発効果について、地域間、部門問の比較・検討を行なった。第2の課題として、財政運営を公共事業型から社会保障型へ移行させた場合の就業誘発効果について、シミュレーション分析を行なった。以上の検討から得られた主な論点は、以下の3点である。第1に、就業誘発係数は、公共事業部門に比べて社会保障サービス部門の方が大きかった。また、公共事業部門、社会保障サービス部門ともに、和歌山県に比べて埼玉県の方が就業誘発係数は大きかった。第2に、シミュレーション分析の結果、公共事業投資額を削減し、社会保障サービス支出と社会保障給付を増加させた場合の就業誘発効果は、埼玉県に比べ和歌山県の方が大きかった。第3に、シミュレーション分析の結果、失業率の減少幅は、埼玉県に比べて和歌山県の方が大きかった。公共事業型から社会保障型へ財政運営が以降することによる雇用への影響は、移輸入率、労働力投入率、人口規模、労働力人口規模により、地方部と都市部では異なることが明らかになった。地域間における社会的、経済的な条件の違いを考慮し、財政運営の制度設計を進めることが求められる。

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ