自動車排出ガスの健康影響に関する疫学研究(兵庫医科大学医学会平成16年度学術講演会要旨)

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  • Epidemiological Study on Health Effects of Traffic-Related Air Pollution

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抄録

我が国では工場等を主な排出源とする硫黄酸化物による大気汚染は改善されたが,自動車交通量の増加に伴い,二酸化窒素や浮遊粒子状物質による大気汚染が問題となっている.とりわけ都市域の交通量の多い幹線道路沿道部においてはこれらの大気汚染物質の濃度が高く,住民の健康に及ぼす影響が憂慮されている.千葉県で実施してきた疫学研究では,学童の気管支喘息症状の有症率および発症率は幹線道路沿道部において高かった.アレルギー等の多くの関連因子の影響を調整しても沿道部における喘息の発症率は有意に高く,自動車排出ガスによる大気汚染が学童の喘息症状の発症に関与することが示唆された,近年,自動車排出ガスの健康影響は国際的な関心が高まっており,欧米諸国においても道路に近いほど呼吸器疾患が多いこと,大気汚染物質が喘息や気管支炎症状を増悪させることが数多く報告されている.幹線道路の沿道部に多くの人々が居住している我が国にとって,自動車排出ガスによる大気汚染への対策は早急に取り組むべき課題であり,自動車排出ガスと健康影響との因果関係を解明するために大規模な疫学研究を実施することが求められている.

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