放射線肺臓炎の発生機序に関する研究 : マウス全肺照射後の接着分子 ICAM-1,VCAM-1,P-selectinの発現の変化について

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  • A STUDY ON THE PATHOGENSIS OF THE RADIATION PNEUMONITIS : ALTERATIONS IN PULMONARY mRNA ENCODING ADHESION MOLECULES ICAM-1,VCAM-1,AND P- selectin FOLLOWING THORACIC IRRADIATION IN MICE

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抄録

放射線肺臓炎の発症における接着分子の関与を解明するために, C57BL/6Jマウスの全胸郭に電子線を用いて1回照射を行い, 経時的に肺を摘出し, 肺組織中の接着分子mRNAの発現を Northern blot 法により定量した。12Gy1回照射後のICAM-1 mRNAは4時間後に非照射群と比較して42% (p<0.05), 24時間後には76% (p<0.01), 48時間後には51% (p<0.05) の有意な増加を認めた。1週間後以降8週までには有意な変化はみられなかった。VCAM-1 mRNAはICAM-1よりやや早く12時間後に49% (p<0.01) のピークを有する発現の増加を認めた。1週間後にも25% (p<0.05) と有意な増加を認めた。P-selectin mRNA は12時間後に59% (p<0.05) と一過性の発現増加を認めた。また, ICAM-1の発現と放射線量との関係の検討では, ICAM-1は3Gyの低線量から発現が誘導され, 24Gyまでは線量依存性に発現量が増加した。これらの一過性ではあるが有意なICAM-1, VCAM-1, P-selectinの発現増加は, in vivo における電離放射線照射後の肺の遺伝子レベルの変化として報告されている中では最も早いもののひとつであり, その後に続く放射線肺臓炎の発症に関与していると考えられた。

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