肝癌に対する肝動脈・肝静脈・門脈の経カテーテル的血流遮断下抗癌剤局所灌流動注療法に関する基礎的・臨床的研究 : 2血管,3血管閉塞時の血行動態・薬剤分布の検討

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タイトル別名
  • HEPATIC ARTERIAL INFUSION CHEMOTHERAPY DURING BALLOON OCCLUSION OF THE HEPATIC ARTERY, THE HEPATIC VEIN AND THE PORTAL VEIN : EVALUATION OF HEMODYNAMIC CHANGES DURING 2 OR 3 VESSELS OCCLUSION

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抄録

【目的】肝癌の抗腫瘍効果を向上させる手段として肝静脈・門脈の二つあるいは肝動脈を含めたすべての血管を経皮経カテーテル的に閉塞した状態で行う動注療法を考案し, 血行動態と抗癌剤局所濃度について基礎的・臨床的に検討した。【対象および方法】A) 基礎的検討家兎6羽を用い, 血管閉塞方法の違いによる組織内アドリアマイシン (以下, ADM) 濃度を各群間で比較検討した。また, 家兎の肝腫瘍モデル4羽を用い, 癌部, 非癌部の組織内ADM濃度を比較した。B) 臨床的検討肝細胞癌2例に対し, 種々の血管閉塞状態で動脈造影下CTを施行し造影効果を比較した。また, 腫瘍栓による門脈閉塞を伴う高度進行肝細胞癌2例に対して, 肝動脈・肝静脈閉塞下の動注療法を行い, 末梢血および肝静脈血中ADM濃度を経時的に測定した。【結果】A) 基礎的検討動注開始と同時に肝静脈を閉塞し, 動注終了直後に門脈を閉塞した場合に組織内ADM濃度が高くなる傾向が認められ為門脈あるいは肝静脈の閉塞を行った場合は非癌部のADM濃度が上昇する傾向が認められた。B) 臨床的検討 癌部の造影効果は, 肝動脈閉塞時に造影剤注入終了後持続した。門脈が閉塞している場合には, 癌部, 非癌部ともに肝動脈閉塞時には造影効果が持続した。肝静脈血ADM濃度は, 動注開始直後より高値を示した。【結論】抗癌剤の局所濃度を高め, 全身の副作用を軽減させうる方法として, 肝動脈・肝静脈・門脈の3血管を閉塞した状態での抗癌剤動注の有用性が示唆された。

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