阪神・淡路大震災被災者に見られた外傷後ストレス障害 : 構造化面接による評価

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  • Posttraumatic stress disorder after the Great Hanshin-Awaji Earthquake : assessment by the structured interview to the survivors

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抄録

外傷後ストレス障害 (posttraumatic stress disorder, PTSD) は, 災害後に生じる精神保健上の問題として最も重要なものとされる。しかしわが国では, それに関しての実証的な研究は今のところ少ない。今回われわれは, 阪神・淡路大震災の被災住民を対象として, 構造化面接と自記式評価尺度を用いた調査を行った。調査は, 阪神・淡路大震災から45~47カ月経た時点で, 仮設住宅と災害公営復興住宅の住民86名を対象として行われた。構造化面接としてClinician-Administered PTSD Scale (CAPS), 自記式尺度としてImpact of Event Scale 改訂版 (IES-R) を用いた。CAPSによる面接調査では, 面接時点で8名 (9.3%) がPTSDと診断可能で, 過去にPTSDと診断される時期のあった者が, 19名 (22.1%) 認められた。この面接時点でPTSDと診断された者のうち, 調査前の精神保健活動において, PTSDと認識されていたのは, 2名だけであった。また, IES-RはPTSD症状をスクリーニングする方法として有効で, 適当なカットオフ値を設定することが可能であった。本調査を通して, 実際の精神保健サービスではPTSDは実際より低く評価されやすく, それには診断技術の問題だけでなく, 外傷的出来事の想起を避けたり, あるいは社会的活動から引きこもってしまう回避症状が影響していると考えられた。また, 面接調査とスクリーニング調査を併用することによって, 精神保健活動に有効な指針が得られる可能性を指摘した。

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