グルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 及びプロインスリンを用いた1型糖尿病に対するワクチン療法の試み

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タイトル別名
  • グルタミンサン ダツタンサン コウソ GAD オヨビ プロインスリン オ モチイタ 1ガタ トウニョウビョウ ニ タイスル ワクチン リョウホウ ノ ココロミ
  • Vaccination with Glutamic Acid Decarboxylase (GAD) or Proinsulin against Type 1 Diabetes Mellitus

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抄録

ヒト1型糖尿病のモデル動物であるNODマウスに対して, 組換えアデノウイルス・ベクターを用いたワクチン療法を行い, 糖尿病の発症阻止を試みた。1型糖尿病の自己抗原のうち最も重要であると考えられるGAD67あるいは proinsulin IIを発現するアデノウイルス・ベクターであるAd. mGAD67, Ad. mPreproinsulin IIをそれぞれNOD線維芽細胞に感染させた後, 幼若な雌性NODマウスへの皮下移植を行い, 末梢における自己抗原発現による免疫学的修飾を試みた。GAD 67発現NOD線維芽細胞の皮下移植NODマウス, およびproinsulin II発現NOD線維芽細胞の皮下移植NODマウスにおいてそれぞれ糖尿病発症率の著明な抑制効果を認めたが, これらの皮下移植マウスはコントロールマウスと同程度の膵島炎を示した。膵島におけるサイトカイン発現をRT-PCR法にて検討したところ, GAD67および proinsulin II発現NOD線維芽細胞の皮下移植NODマウスの両者においてTh2優位であった。以上より, 末梢におけるGAD67および proinsulin IIの発現により糖尿病原性Th1細胞を抑制するTh2細胞が誘導されたことが考えられ, 末梢での自己抗原発現による1型糖尿病ワクチン療法の有用性が示唆された。

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