腹腔鏡下に診断し整復しえた大網裂孔ヘルニア嵌頓の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Transepiploic Hernia which was Successfully Diagnosed and Treated under the Laparoscopic Surgery

この論文をさがす

抄録

大網裂孔ヘルニアはまれな疾患であり,特徴的な臨床所見に乏しく術前診断は困難といわれる.診断の遅れから開腹時すでに腸壊死を来し腸切除を必要とすることも多い.今回,我々は大網裂孔ヘルニアの診断と治療に腹腔鏡が有用であった1例を経験したので報告する.症例は16歳の女性で,開腹歴はない.腹痛を主訴に救急外来を受診し,臍周囲に強い圧痛を認めた.腹部CTでは特記すべき異常所見を認めなかった.原因不明の急性腹症と診断され当科入院となった.4時間後,疼痛が増強し腸液混じりの嘔吐が出現したため,内ヘルニア嵌頓を疑い緊急手術を施行した.腹腔鏡検査を施行し,大網に生じた異常裂孔に小腸が嵌頓しているのが発見された.大網を切離し裂孔を開放した,小腸に壊死所見を認めなかったため,腸切除は施行しなかった.術後3日目に退院した.我々が検索しえた範囲では,腹腔鏡下で診断し整復しえた大網裂孔ヘルニア症例は本症例が本邦初の報告である.

収録刊行物

被引用文献 (10)*注記

もっと見る

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ