タイ国ドイインタノン国立公園内における山地民族の焼畑管理が休閑地の植生構造および木本の初期定着に果たす役割

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of management practices for abandoned fields of shifting cultivation on their vegetation component and tree establishment in two hill tribes in Doi Inthanon National Park of Thailand
  • タイコク ドイインタノン コクリツ コウエン ナイ ニ オケル サンチ ミンゾク ノ ヤキバタ カンリ ガ キュウカンチ ノ ショクセイ コウゾウ オヨビ モクホン ノ ショキ テイチャク ニ ハタス ヤクワリ

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抄録

タイ北部のドイインタノン国立公園周辺において, 山地民族が行う休閑前後の雑草管理が爾後の植生構造および木本種定着に果たす役割を検討した。調査は休閑前後の管理法が異なるカレン族, モン族 (メオ族) の休閑地で10m×10mの調査枠をそれぞれ設定し, 種組成, 雑草植生の空間的変化, 木本の定着状況を測定した。カレン族の休閑地では, 木本定着が休閑3年目の中程度放牧で最大となる傾向がみられた。雑草組成は休閑年数による組成変化に加え, 放牧による組成変化が休閑地の雑草植生の組成構造に強く影響していると考えられた。一方, モン族の休閑地では雑草の種数, 種多様性が, 本研究で中間的な休閑時間にあたる休閑1年目の立地で最大となった。以上の結果を生む要因としては, 粗放的な農業を行うカレン族の管理する休閑地は比較的早い段階から木本種の侵入が進む一方で, 集約的な農業を行うモン族の管理する休閑地はイネ科草本の優占もあり, 木本種の侵入, 森林の再生が進みにくいことが考えられた。さらに, カレン族の休閑地の場合, 適宜放牧をすることも森林再生に重要な役割を果たすと考えられた。

収録刊行物

  • 雑草研究

    雑草研究 51 (1), 10-18, 2006

    日本雑草学会

参考文献 (25)*注記

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