ウルグアイ・ラウンドの構図 : 農業交渉をめぐる主要国のポジション分析を中心として

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  • ウルグアイ ラウンド ノ コウズ ノウギョウ コウショウ オ メグル シュヨウ
  • The Configuration of the Uruguay Round

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抄録

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前章でみたように, 主要国の行動, ポジションは, ラウンドの経過とともに, 歩み寄りの方向で若干の変化がみられるが, いくつかの点で大きな隔たりもみられる。具体的には, (1)農業の国境調整措置, (2)輸出補助金, (3)国内支持, (4)交渉方法, (5)ガット・ルール問題, (6)動・植物の検疫制度において, それらのリンケージをからめ, 濃淡を含めた対立がみられるが, ここでは特に前三者に関し個別に対立点等を整理してみよう。第一に, 農業の国境調整措置では, アメリカが関税化を, ECが関税化を認めつつも, 国境調整を存続させるリバランシングを提案している。ケアンズ・グループは, カナダがガット11条2項Cの存続を主張し, 戦線を離れたものの, アメリカ案に近い提案となっている。一方, 日本は, 輸入数量制限を行っている品目についてアクセスを考慮しつつも, 食糧安全保障論に基づき, 例外措置を認めさせようとしている。次いで, 輸入補助金に関しては, アメリカが相当程度の削減(10年間で90%以上)を農業保護の廃止を条件に主張しているのに対し, EC, 日本とも漸進的削減, ケアンズ・グループは最終的に撤廃を含め一定期間内の削減をうたっている。第三の国内支持については, アメリカが最も貿易歪曲的な政策については10年間で75%以上, その他の貿易歪曲的な政策は30%以上の削減であり, EC及び日本は, わずかな削減(ECは支持総体の削減を考慮), ケアンズ・グループは, カナダの異論はあるもののアメリカ案に近い。ところで, ラウンドの中途で出されたドゼウ案, ヘルストローム案, ドンケル案が, どの提案に近いかを考察すると, 全体として, さまざまな案の妥協の産物であるが, アメリカ案に近いことがわかる。国際

source:Bulletin of the Faculty of Education, Chiba University. Part I

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