結果構文における推移と境界性の起源

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  • Transition in Resultatives and the Origin of Boundedness
  • ケッカ コウブン ニオケル スイイ ト キョウカイセイ ノ キゲン

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Abstract

論文(Article)

はじめに Simpson(1983)における英語の「結果構文」の〈発見〉以来,多様なアプローチによる研究が精力的に行われてきたが,いまだにその特性については,広く一致した見解が得られているとはいいがたい。 1 本稿では,結果構文に関する未解決の問題として,(A)結果構文の成立条件ともいえる境界性制約(boundedness constraint)の本質は何か,(B)結果構文はなぜ完全に生産的ではないのか,という2点を重点的にとりあげ,結果構文の成立条件には,BECOME事象に対応する「測定尺度(scale)/経路(path)」が解釈上構築されることが不可欠に関わっているという立場から,一定の解答を提案する。さらに関連して,make使役構文との比較から,結果構文の構文としての自律性について考察し,結果構文が他のより生産的な構文(例えばWay構文)に比べ,なぜ半生産的(semi-productive)にしか使用されないのか,言い換えると,なぜ慣用的な固定性が強いのかという点についても,構文の成立条件に基づく説明を試みる。 2節では,上記の第1点,「(A)結果構文における境界性の制約」についての先行研究を概観する。3節では,結果句の境界性に関する一般化を提示し,それに基づく結果構文の成立条件として,変化事象の推移が生じる「測定尺度/経路」の解釈について議論する。さらに,「測定尺度/経路」上に位置づけられる境界(boundary)の読みは,複合述語形成(complexpredicate formation)に伴い概念上要請される副次的な効果であると論じる。4節では,make使役構文との比較から,上記の第2点,「(B)結果構文の使用における半生産性」について考察する。5節が全体のまとめとなる。

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