在日台湾人子どもの読解力の測定:中国語母語話者と日本語母語話者の読解力を比較分析する

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タイトル別名
  • Measurement of Reading Coprehension of Taiwanese Children in Japan in the Case of Chinese and Japanese Languages : A Comparative Analysis of Chinese and Japanese Native Speakers' Reading Comprehension
  • ザイニチ タイワンジン コドモ ノ ドッカイリョク ノ ソクテイ チュウゴクゴ ボゴワシャ ト ニホンゴ ボゴワシャ ノ ドッカイリョク オ ヒカク ブンセキ スル

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抄録

我々は読むことによって情報や知識を獲得する。文章を読み進める際、文中の接続詞や指示語などの部分を繰り返し読むことによって推論する。そして文章の各部分を統合して文章全体の意味を理解する。本稿では、日本語を第二言語とする中国語の母語話者の学習者12名(日本語学習開始年齢によって7歳以前、7~10歳、11歳以降の3群に分ける)の在日台湾人の子どもを対象に、文章を読むとき、どの程度理解し、どの課題で理解不能となるかを調べた。   まず、中国語と日本語の読解のテストを作成した。それぞれの言語の読解問題は、「理由」、「接続」、「説明」、「全体」、「指示」の設問に分かれている。次は中国語と日本語のそれぞれの読解のテストを用いて、文章理解の度合いを中国語と日本語の母語話者と比較し検討した。その結果、中国語の読解力の保持に関しては日本語学習開始年齢の高いほうが容易である。中国語読解に関しては「接続」「全体」「指示」の課題が最も困難になる。日本語読解に関しては「接続」「指示」の課題が最も困難になる。   また、中日二言語間の読解力の間に強い正の相関がある。日本語の読みでは、漢字が占める割合が高いため、漢字圏の学習者の母語の漢語知識が読解力に影響を及ぼす原因の一つであると考えられる。このように、中国語の語彙をより習得した年長者群が日本語の読解においては有利になるであろうと考えられる。二言語の間で顕著な違いが見られる「接続詞」と「指示詞」に関して、在日台湾人の子どもの学習度合いはそれぞれの同学年の母語話者と比較して、習得度合いが低いと示唆された。

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