投資保護条約の傘条項が対象とする国家契約の違反行為 : 最近の判例・学説に見られる「主権的行為論」の根拠の検討を中心として

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  • Critical Analysis on Restricted Application of "Umbrella Clause" in Investment Protection Treaties
  • トウシ ホゴ ジョウヤク ノ カサ ジョウコウ ガ タイショウ トスル コッカ ケイヤク ノ イハン コウイ : サイキン ノ ハンレイ ガクセツ ニ ミラレル シュケンテキ コウイロン ノ コンキョ ノ ケントウ オ チュウシン トシテ
  • 投資保護条約の傘条項が対象とする国家契約の違反行為 : 最近の判例学説に見られる主権的行為論の根拠の検討を中心として

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抄録

各国が締結してきた投資保護条約の多くには、「他の締約国の国民との間で負った義務の遵守」を確約する条項(「傘条項」)が含まれている。この条項は、それが対象としている義務や義務違反行為の性質を条文上何ら限定していないことから、国家が条約の他の締約国の国民との間の契約に反する行為は、全て同時に投資保護条約のこの種の条項の違反になると解されてきた。近年、この「傘条項」を根拠に、投資保護条約が定める仲裁手続きを利用されることが急増し、仲裁付託数の抑制を図るために、この種の条項の適用対象を制限しようとする新たな解釈が判例及び学説において模索されてきている。それらの新たな解釈のなかでも有力なものとなりつつあるのが、国家が立法権や行政権を行使して外国私人との間の契約を無効化した場合のように、国家がその権力を濫用し、通常私人たる契約当事者なら取り柄ない行為を、国家が執った場合にのみ「傘条項」の違反が成立するという解釈(主権的権限論)である。本稿は、この主権的権限論の法的根拠について批判的に検討したものである。

収録刊行物

  • 同志社法學

    同志社法學 58 (2), 491-520, 2006-06-30

    同志社法學會

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