ハカタユリ (Lilium brownii var. colchesteri) 我が国への伝来および名称の由来に関する考察

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タイトル別名
  • History of Lilium brownii var. colchesteri in Japan
  • ハカタユリ(Lilium brownii var. colchesteri)の我が国への伝来および名称の由来に関する考察
  • ハカタユリ Lilium brownii var colchesteri ノ ワガクニ エ ノ デンライ オヨビ メイショウ ノ ユライ ニ カンスル コウサツ

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抄録

ハカタユリの原産地は中国で、中国で「百合」はハカタユリのことである。ハカタユリは韓国で古くから「唐ユリ」という名前で知られていたこと、現在韓国では経済栽培は行われていないが、農家の庭先で広く栽培されていること、さらには、韓国、壱岐、岐阜に生きるハカタユリの遺伝子分析の結果などから、伝達経路は中国→朝鮮半島→博多と考えるのが最も合理的であると思われる(トウガラシのように日本→朝鮮半島の例もあるので、中国→日本→朝鮮半島のルートも考えられる)。日本に最初にもたらされた球根が全国に広がったと考えなくてもクローンであることから、朝鮮半島にあるハカタユリが様々な経路で、複数回にわたって、異なる時代に入ってきたと考えることも可能である。桃山時代(1568-1600)に作られた能衣装「茶地百合御所車模様縫箔」に刺繍されているユリが最も古いハカタユリの形としての記録であり、文字としては犬子供集(1633)に収録されている俳句である。鎌倉時代という証拠はなにもない。岐阜には江戸からもたらされ、たまたま生育に適したところであったため、ながく生きながらえたと考える。

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