堆積性有機物の有機熟成に対する接触変成作用の影響 ―青森県南津軽郡大鰐町に分布する中新統泥岩の場合―

  • 相澤 武宏
    弘前大学理工学部地球環境学科
  • 星居 朗子
    弘前大学理工学部地球環境学科:(現)(株)アドヴァンスト・インフォーメイション・デザイン東京事業本部
  • 氏家 良博
    弘前大学理工学部地球環境学科

書誌事項

タイトル別名
  • The thermal effect of the contact metamorphism on organic maturation in sedimentary rocks ―: in the case of the Miocene mudstone at Owani-machi, Minami-Tsugaru, Aomori, Japan―
  • タイセキセイ ユウキブツ ノ ユウキ ジュクセイ ニ タイスル セッショク ヘンセイ サヨウ ノ エイキョウ アオモリ ケン ミナミ ツガルグン オオワニマチ ニ ブンプ スル チュウ シントウデイガン ノ バアイ

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抄録

青森県南津軽郡大鰐町の鯖石と森山において,接触変成作用を受けた中新世泥岩について有機炭素含有量(Co),ビジュアル・ケロジェン組成,ビトリナイト反射率(Ro),統計的熱変質指標(stTAI)の測定および珪酸鉱物の同定を行った.有機物の含有量・組成・熟成度の全てにおいて,岩脈に近いほど,接触変成作用による熱の影響を強く受けて有機熟成が進行している.鯖石の岩脈から1.5m以内の試料で,岩脈に近づくにつれてCoおよび不定形質ケロジェンの割合が増加するのは,有機物が高圧下で加熱され,一度発生した液体成分が散逸せずに,ケロジェンと再結合してコークス状物質を形成したことが原因であると推定される.R_o対stTAIダイアグラムでは,接触変成作用による有機熟成は,続成作用による有機熟成経路とは異なる経路で進行する.この熟成経路の相違は,続成作用と接触変成作用における時間と温度のスケールの相違,およびRoがstTAIよりも温度に対して敏感であることにより生じると推定される.接触変成作用の影響を取り除くと両地域は,有機熟成ではほぼ同じ段階を示すが,珪酸鉱物では鯖石が森山より高い埋没続成段階を示している.黒石断層および三ツ目内断層を境にして森山側の地層が鯖右側の地層より330m沈降していることから,有機物は断層活動後の,珪酸鉱物は断層活動前の埋没続成段階を示していると推定される.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 59 (5), 313-322, 2005

    地学団体研究会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (34)*注記

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