トランスパラタルアーチの活性化が大臼歯に与える力系について 第1報 : 近遠心方向への力とモーメント

  • 中島,美紀
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座歯科矯正学分野
  • 古賀,義之
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座歯科矯正学分野
  • 原,宏子
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座歯科矯正学分野
  • 帯屋,洋之
    佐賀大学理工学部都市工学科
  • 吉田,教明
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座歯科矯正学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Force systems acting on the molars on activation of transpalatal arch Part 1 : Mesio-distal forces and moments

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抄録

片側II級不正咬合にみられる左右非対称な大臼歯咬合関係の改善には,トランスパラタルアーチ(以下TPA)を活性化し,動的な応用を行うことが多い.その際の大臼歯に生じる力系を明らかにし,TPAの有効な活性化法を検討するため,TPAの三次元モデルを構築し,接線剛性法を用いて力学的解析を行った.大臼歯の近遠心方向のコントロールを行うことを前提に,TPA活性化時に大臼歯に生じる力系を解析し,以下の結果を得た.1.片側II級症例に対して,I級側の大臼歯のTPA脚部に片側のみtoe-in bendを付与し,II級側の大臼歯に遠心力を加えようとすると,同時に副作用として,近心捻転を増悪させる近心回転モーメントを生じることが明らかとなった.マルチブラケット装置装着時では,副作用を減じるため,toe-in bendを両側に付与し,II級側の大臼歯チューブにはメインアーチを挿入せずフリーにし,I級側の大臼歯には固定歯を増加することが推奨される.2.TPAの片側脚部のみに変形を与え,片側のみ6自由度拘束した場合のone-couple systemと,両側6自由度拘束した場合のtwo-couple systemにおける力系の比較では,両側大臼歯に生じる近遠心力は約2.4倍となった.One-couple systemにおける力系は,口腔内での臨床計測が可能であるが,本研究により,計測結果をtwo-couple systemにおける力系に換算することが可能となった.

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参考文献 (23)*注記

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