栃木県北部に分布する中新世珪長質火山岩の形成年代

  • 吉川 敏之
    産業技術総合研究所地質情報研究部門統合地質情報研究グループ

書誌事項

タイトル別名
  • Age of the Miocene felsic volcanic rocks distributed in the northern part of Tochigi Prefecture, central Japan
  • トチギケン ホクブ ニ ブンプ スル チュウシンセイケイチョウシツ カザンガン ノ ケイセイ ネンダイ

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抄録

栃木県北部のうち,日光市今市(旧今市市)周辺地域には珪長質火山岩類が広く分布する.このうち,飯山層および大滝凝灰角礫岩の火砕岩のフィッション・トラック(FT)年代を測定した.飯山層の火砕流堆積物中に含まれるジルコンのFT年代は14.8±0.7 Maで,ほぼ火砕流の噴出年代を表していると判断できる.大滝凝灰角礫岩の岩屑なだれ堆積物の基質部分に含まれるジルコンのFT年代は13.4±0.6 Maであるが,χ2検定に失格し,ポアソン変動以外の年代値を乱す要因を受けている可能性があり,大滝凝灰角礫岩の年代は依然として明確でない.飯山層の年代は栃木県内の海成中新世火山岩類では最も古く,放射年代に基づくと,各地域の珪長質火山岩は時間間隙を伴いながら場所を変えて噴出したものと見なせる.ただし,宇都宮地域の年代に関しては,年代値と層序の矛盾,年代決定手法間の不一致があり,この問題が解決されないと火山岩類の対比も確立できない.<br>

収録刊行物

  • 地質学雑誌

    地質学雑誌 112 (12), 760-769, 2006

    一般社団法人 日本地質学会

参考文献 (30)*注記

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