中国における地域開発の課題と可能性に関する一考察 : 企業の視点から見た「東北再開発」戦略の行方

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タイトル別名
  • チュウゴク ニ オケル チイキ カイハツ ノ カダイ ト カノウセイ ニ カンスル イチ コウサツ キギョウ ノ シテン カラ ミタ トウホク サイカイハツ センリャク ノ ユクエ

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抄録

本稿の課題は,「企業」の視点から中国東北地域が共有する問題点を析出し,中国の地域開発の課題と可能性に対する政策的インプリケーションを提示することである.マクロ的な「東北現象」の背後には,企業レベルの様々な問題が存在している.他の地域に比べてより早く工業化を実現した東北地域に密集している多数の工業企業のパフォーマンスは,東北地域のマクロ経済の動向を具体的に左右する.すなわち,半世紀の歳月をかけて形成された東北地域の工業企業の改革こそ諸問題の核心である.これらの企業が問題点を解決できれば,「東北現象」問題そのものも解決できる.そこで,本稿は,東北企業の一般像-現代企業制度改革の立ち後れ,重厚長大型産業への偏重,過剰雇用,「国強民弱」(国有企業が強く民営企業が弱い)-を指摘するうえで,典型的な東北型企業を典型的な華南型企業と対比した.それによって東北企業は企業所有関係から産業・労働など諸分野で華南型企業とは対極的になっていることがわかる.そして,本稿は,東北地域の成功企業を例にして「東軟集団」などが何故成功しているかを追究することによって東北企業の問題点を析出した.最後に,東北企業における「東北病」の一般的症状を明確にし,それぞれの症状への「市販薬」を用意したとともに,筆者の論点-政府のあるべき姿,ショック療法の覚悟,民間企業家の育成,企業家精神の発揮,固有企業の進化方向など-を取り上げた.

収録刊行物

  • 経済学季報

    経済学季報 55 (3/4), 111-145, 2006-03-20

    立正大学経済学会

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