家族介護者の介護に対する認知的評価に関連する要因 : 介護に対する肯定・否定両側面からの検討

書誌事項

タイトル別名
  • Factors Related to Cognitive Caregiving Appraisal by Family Caregivers : The Positive and the Negative Aspects of Caregiving
  • カゾク カイゴシャ ノ カイゴ ニ タイスル ニンチテキ ヒョウカ ニ カンレン スル ヨウイン カイゴ ニ タイスル コウテイ ヒテイ リョウ ソクメン カラ ノ ケントウ

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抄録

家族介護者が感じる介護に対する認知的な評価を肯定・否定の両側面で構成される「認知的介護評価」とし,その関連要因を検討することを目的とした.調査設計は横断調査である.主介護者440人を対象に郵送調査を行い,243人の分析対象者を得た.分析方法としては,「認知的介護評価」に関する6因子を従属変数とし,要介護高齢者および介護者の要因を独立変数とする重回帰分析を行った.従属変数は以下に示す.独立変数は,要介護高齢者の要因として,問題行動数,ADLを,コントロール要因として介護者の性別,年齢を,介護者要因として続柄,主観的健康度,仕事の有無,夜間介護の有無,介護年数,インフォーマルサポートに対する満足度を設定した.分析の結果,「社会活動制限感」には仕事の有無が,「介護継続不安感」には介護者健康度が,「関係性における精神的負担感」にはインフォーマルサポートに対する満足度が,「介護役割充足感」には夜間介護が,「高齢者への親近感」には介護者年齢が最も有意な関連を示した.また「自己成長感」においては,有意に関連する要因は認められなかった.関連要因の違いから,支援専門職は介護者の健康状態に配慮するとともに,満足のいくインフォーマルサポートを得て否定的評価を軽減することができるよう,また,介護者の属性や介護経験に留意して,介護を肯定的にとらえていくことができるような支援の必要性が示唆された.

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 47 (3), 3-15, 2006-11-30

    一般社団法人 日本社会福祉学会

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