南極周回気球による高エネルギー電子の観測 (大気球研究報告)

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タイトル別名
  • Observation of High Energy Electrons by Polar Patrol Balloon

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抄録

我々は,高エネルギー電子加速源の探索と加速機構の解明を目的として,南極周回気球による長期間観測を2004年1月に実施した.観測は,平均高度35km において13日間にわたって行われ,10GeV から1,000GeV のエネルギー領域で,これまでの三陸での観測総量を1桁以上超えるデータの取得に成功した.この観測のために開発されたPPB.BETS と呼ばれる装置は,シンチ・ファイバーベルトとプラスチック・シンチレータを吸収層(鉛板)の間に交互に挿入した構造を持つシャワー可視化型カロリメータである.全部で約9輻射長の厚さの鉛と,約10,000本のシンチ・ファイバーを用いて,宇宙線シャワーの3次元的発達を測定することにより,約4,000倍の陽子除去能力を実現している.その観測時の有効面積は約600cm2sr であり,エネルギー分解能は100GeV で約12%である.これらの装置の基本性能は,CERN.SPS における電子,陽子ビームの照射実験で確認するとともに,シミュレーション計算を駆使して観測性能を詳細に調べた.長期間気球実験のために,イリジウム衛星を用いたテレメトリー,太陽電池による発電(充電)システム,CPU を用いたオートレベルコントロール等の,幾つかの新たな技術が導入された.100GeV 以上のエネルギーを持つ約5,700イベントの観測データから約100例の電子候補を選別した.本稿では,観測目的,観測装置,シミュレーション計算,ビームテスト,気球実験,データ解析と,一次電子エネルギー・スペクトルの初期的な結果を報告する.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1573387452125750400
  • NII論文ID
    110006155836
  • NII書誌ID
    AA1192675X
  • ISSN
    13491113
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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