日本のテレビ番組におけるメラネシア表象(<特集>マスメディア・人類学・異文化表象)

書誌事項

タイトル別名
  • Representations of Melanesia in Contemporary Japanese Television Programs (<Special Theme>Mass media, Anthropology and Representation of Other Cultures)
  • 日本のテレビ番組におけるメラネシア表象
  • ニホン ノ テレビ バングミ ニ オケル メラネシア ヒョウショウ

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抄録

本稿は、日本のテレビ番組におけるメラネシア地域とそこで生活する人々の取り上げられ方について検討したものである。対象とした番組は1998年から2002年までの約5年間に放映された44件である。序論の第I章に続く第II章において、メラネシアのなかでとりわけどのような地域や人々が番組の対象としてより頻繁に選び出されているのかという点を明らかにした後、第III章と第IV章では、選び出された地域や人々の描かれ方の分析を行なった。また、第V章では、対称の選択の仕方や描き方をめぐる複数の番組間、あるいは番組と雑誌や図書などの間の参照関係を具体的に跡づけるとともに、そうした関係に対する民族誌的著作物の関与のあり方を明らかにすることも試みた。検討の対象とした番組ではイリアンジャヤやヴァヌアツ、パプアニューギニアの集落部や、腰蓑やペニスケースなどの「伝統的装束」を身につけた人々がとりわけ頻繁に取り上げられていた。また、番組ではもっぱらこれらの地域や人々の「近代的な世界」からの隔絶性が強調され、そうした世界との交流を示す事象は遠景に退けられたり捨象されていた。こうしたなかで、民族誌的著作物は番組製作者側によって番組を制作する際の情報源ないしアイデアの供給源として利用されることにより、対象の選択の仕方や描き方をめぐる参照関係のネットワークのなかに取り込まれていることが明らかになった。結論の第VI章では、こうした状況において人類学者が取り組むべき課題について触れた。

収録刊行物

  • 文化人類学

    文化人類学 69 (1), 115-137, 2004

    日本文化人類学会

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