管理濃度として規定されていない化学物質の生物学的モニタリングの検討 ― フルフラール(furfural)について ―

  • 森本 泰夫
    産業医科大学 産業生態科学研究所 呼吸病態学研究室
  • 保利 一
    産業医科大学 産業保健学部 第一環境管理学講座
  • 東 敏昭
    産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学研究室
  • 長友 寛子
    産業医科大学 産業生態科学研究所 呼吸病態学研究室
  • 日野 義之
    産業医科大学 産業医実務研修センター
  • 大里 厚
    産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学研究室
  • 内野 文吾
    産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Biological Marker of Furfural, Chemicals without Administrative Control Level

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抄録

フルフラールは無色透明な液体で, 石油精製や溶剤, ゴム添加剤などに使用され日本産業衛生学会から許容濃度が2.5ppmと勧告されているが, 管理濃度は設定されていない. フルフラールを使用する作業場の労働衛生管理を有効に行うため, フルフラールの作業環境濃度と曝露指標マーカーとして尿中のフルフラールの代謝産物である尿中フランカルボン酸を測定し, 平成16年においてフルフラール取り扱い職場にて作業環境濃度を測定した. 同作業者を対象に作業時間の問診を行い, 就業後に尿を採取しHPLCにて尿中のフランカルボン酸の測定を行った. 環境中のフルフラール濃度は期間中の濃度は1.6ppmから2.1ppmであった. 作業者の尿中カルボン酸の平均濃度は7.7mg/g-クレアチニン(3-60mg/g-クレアチニン)であった. 作業環境濃度に1ヶ月間の作業時間を乗じた平均累積曝露量(cumulative exposure to furfural)推定値は, 86.4 ± 108.6ppm時間/月(0-336ppm時間/月)であり, これを尿中フランカルボン酸と単回帰分析を行い, 平均累積曝露量と尿中フランカルボン酸は正の相関を示した. これらのことは尿中フランカルボン酸がフルフラール作業における曝露量の推定に有効でありバイオロジカルモニタリングの曝露指標になりうること, さらに環境中のフルフラール濃度測定と尿中フランカルボン酸の測定はフルフラールの労働衛生管理に有効であることを示唆した.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 29 (2), 141-148, 2007

    学校法人 産業医科大学

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