当院回復期リハビリテーション病棟退院患者の再入院における検討

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  • 第3報

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抄録

【目的】回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)退院後,諸事情により再度入院となる患者が少なからず存在する。我々は,回復期リハ病棟退院患者における再入院動向を調査し,第41回全国理学療法学術大会,第9回回復期リハ病棟研究大会において検討,報告したが,初回退院時の状況から再入院となる患者の特徴を掴むことはできなかった。再入院の原因特定には,現病歴や生活状況等についての更なる検討が必要である。そこで本研究では急性発症し再入院した症例を個別に調査,検討したので報告する。<BR>【方法】平成15年8月から平成18年7月末日までに当院回復期リハ病棟を経て退院後,急性発症して再入院した症例32例(男性10例,女性22例,平均年齢74.1±8.2歳)を,再入院時診断名から中枢神経系疾患(中枢群), 骨関節系疾患(骨群)の2群に分類した。調査項目は身体特性,再入院時疾患名,合併症,再入院時内服状況,現病歴を診療録より後方視的に調査,集計した。<BR>【結果】中枢群は19例(男性9例,女性10例,平均年齢71.4±7.8歳)であり,再発は17例,新規発症2例であった。合併症は,高血圧13例,認知症10例,心疾患4例,高脂血症3例にみられた。内服状況は抗血液凝固剤13例,降圧剤10例,精神安定剤・睡眠剤8例であり,5剤以上内服している症例は10例であった。再発状況は自宅12例,施設入所7例であり,全例が介護者の発見であった。骨群は13例(男性1例,女性12例,平均年齢78.2±6.4歳)であり,再骨折9例,新規骨折4例であった。合併症では9例に脳卒中の既往があり,認知症も7例が有していた。内服状況は降圧剤7例,抗血液凝固剤4例,精神安定剤・睡眠剤5例であった。受傷状況は自宅8例,施設内5例であり,屋内受傷が11例であった。また,12例に転倒歴がみられ,再入院受傷原因も転倒によるものであった。新規骨折のうち1例は介助中の骨折であった。自宅転倒例での家屋改修施工は1例のみであった。<BR>【考察及びまとめ】脳卒中,大腿骨頸部骨折の再発に関する先行研究では,高血圧,脳血管障害,心疾患の既往,降圧剤,睡眠剤などの多剤内服がリスクファクターとして挙げられている。また,転倒歴の有無も重要である。今回の結果より,中枢群では先行研究と同様,高血圧を有し多剤内服している症例が再発例の半数を占めた。骨群では脳卒中既往の症例が転倒骨折していること,屋内転倒者が多いにもかかわらず家屋改修例が1例だったことから,脳卒中の既往や転倒歴のある症例に対し,住環境整備が転倒予防につながると思われる。しかし,再骨折例5例が施設内転倒によること,介助中の骨折例もあることから,住環境整備だけでは再発は防げず,介助者への適切な指導も重要である。今後は,入院中の臨床業務に反映させ退院前指導として実践する必要があると考える。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2006 (0), E1123-E1123, 2007

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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