日本人における胃食道逆流症での食道知覚過敏の検討

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  • Esophageal hypersensitivity in Japanese patients with gastro-esophageal reflux diseases
  • ニホンジン ニ オケル イ ショクドウ ギャクリュウショウ デ ノ ショクドウ チカク カビン ノ ケントウ

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抄録

目的: 食道の知覚過敏はNERD (non-erosive reflux disease) 発症に重要な役割を果たしている. NERDの発生において食道知覚過敏がどのように関与しているかあまり検討されておらず, その発生頻度は地域や人種により異なるとされていることから, 日本人における食道の知覚過敏について検討を行った. 対象と方法: GERD (gastroesophageal reflux disease) 123人 (NERD: 60人, e-GERD (erosive gastroesophgeal reflux disease) : 53人, バレット食道: 10人) とコントロール: 26人を対象に酸食道感受性試験と胃内視鏡検査を行った. 酸に対する反応を症状持続時間, 症状の強さ, 感受性指数: SI (Sensitivity Index) の3つのパラメーターを用いて比較検討を行った. また制酸剤投与後の追跡調査をNERD: 16人, e-GERD: 11人を対象に比較検討を行った. 結果: 酸食道感受性試験では, NERDの“症状持続時間”,“症状の強さ”とSIの平均値は, e-GERDとバレット食道よりも高く, コントロールに比べて有意に高かった. 制酸剤投与後の追跡調査では, SI: 20以下の場合, NERDは様々な反応 (増悪: 71.4%, 改善: 28.6%) が認められるのに対し, SI: 21以上の場合は改善する傾向にあった (増悪: 11.1%, 不変: 33.3%, 改善: 55.6%). 結語: 日本人におけるNERDはe-GERD, バレット食道, コントロールより有意に食道知覚が過敏であり, NERDにおいて知覚過敏陽性群は酸分泌抑制剤が効果的であるが, 知覚過敏性群は酸分泌抑制剤投与にもかかわらず症状は悪化しており, 酸以外の要因の関与も示唆された. また, 酸食道感受性試験はNERDの予後の予測因子および治療方針の決定に有用であると思われた.

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