日本と韓国の大気汚染総量管理制度と関連賦課金 : 韓国の首都圏大気環境改善特別法における排出枠取引に注目して

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  • ニホン ト カンコク ノ タイキ オセン ソウリョウ カンリ セイド ト カンレン フカキン カンコク ノ シュトケン タイキ カンキョウ カイゼン トクベツホウ ニ オケル ハイシュツワク トリヒキ ニ チュウモクシテ

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Abstract

日本も韓国も、急速な経済発展に伴って集中的に生じた公害問題に対処するために、効果的な公害対策を必要とした。中でも、密集した工業地帯において、総量規制は濃度規制よりも効果的な手段であるが、その実施は技術的にも行政上も容易ではない。  日本と韓国の総量規制を比較したとき、類似点よりも相違点が多い。中でも日本が時間当たりの総量規制なのに対し、韓国は年間の総量規制であるため、米国の酸性雨プログラムやRECLAIM制度に類似した排出枠取引が並行して実施される。ここでは、公平性に配慮した初期配分として、原単位(割当係数)を用いた方式が採用されている。  なお、韓国の排出枠取引制度の性格は、市場メカニズムの導入というよりは、直接規制としての総量制を補完し、被規制者に柔軟性を与え費用負担を軽減するものである。そのため、不遵守の際の総量超過賦課金は、EU-ETSで用いられたようなsafety valve(安全弁)ではなく、総量規制を遵守させるためのペナルティである。  それに関連して、韓国では従来からの濃度規制に付随する制裁的な賦課金としての排出賦課金が存在し、上記の総量制における総量超過賦課金との関係を整理して理解する必要がある。日本でも、趣旨は異なるが公害健康被害者の補償のための公健法賦課金が存在する。これら賦課金には削減インセンティブが期待されるが、既存の分析の結果からみれば、これらの賦課金よりも直接規制それ自体が、直接的な排出量削減インセンティブを与えている場合が多いようである。

Journal

  • 産大法学

    産大法学 41 (3), 658-624, 2007-12

    京都産業大学法学会

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