235 図示平均有効圧の動的(過渡)計測について

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  • 235 Dynamic Measurement of Indicated Mean Effective Pressure

抄録

自動車分野においては低公害,省燃費対策が急務となっており,熱効率改善を目的としたガソリン筒内直接噴射エンジン開発やリーンバーン燃焼の適用拡大による対応がなされている.また,動弁系に代表される可変機構は,燃費改善や排気エミッションの改善に大きな役割を果たしているが,制御パラメータは増大している.それらの設定には指圧波形解析が重要であるが,実車計測ではサンプリング数やデータの処理速度,測定系の応答性や周波数特性などにより制約が生じることがある.また,過渡運転時の最適制御では従来のマップやテーブルの読出し補間方式では対応が難しい状況にある.指圧波形からは,最大筒内圧や発熱量,直接サイクルごとの仕事量を示す図示平均有効圧(Indicated Mean Effective Pressure,以下 IMEP)が算出でき重要なデータとなる.筆者らの提案している式(A1)によるIMEP演算手法は,サンプリングデータ数を減少させても従来型の数値積分法よりも演算誤差が少なく,かつ演算速度が速い特徴がある. {IMEP}_f=π/(2h){C_1cosφ+KC_2cosφ_2}…(A1) C_1, C_2:第1次,第2次周波数成分の振幅 φ_1,φ_2:第1次,第2次周波数成分の位相 K=(1+1/4λ^2)/2λ λ:コンロッド長さ/クランク半径 h:定数,2cycleは1, 4cycleは1/2 この手法を用いて,過渡状態におけるリアルタイムでのIMEP計測をした.供試機関はShibaura製単気筒ガソリンエンジン(Bore 74mm, Stroke 68mm,圧縮比7,4)で, Fig.A1はエンジン回転数2,000rpmにてスロットル開度を1/4から3/4まで急激に開き, Fig.A2ではスロットル開度2/4でエンジン回転数を1,000rpmから2,000rpmまで急激に上昇させた.なお,運転状態変化前の点火時期はBTDC 22deg,空気過剰率は1.0とした.この結果,本方式ではバッジ処理で数値積分した場合の{IMEP}_0と同等の結果が得られ,本方式の過渡計測への適用が可能であることが確認された.本方式では,ローパスフィルタを利用したサンプリングデータ数減少時の誤差低減や周波数特性が不足した測定系での誤差補正も可能である.また,本方式を応用した指圧センサを使用しない燃焼モニタ法も提案されており,エンジン制御に向けた発展が期待できる.

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