大学の教育力としてのキャリア教育 : 京都産業大学におけるパネル調査分析から

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  • University propelled Career Education : A panel survey analysis from Kyoto Sangyo University
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抄録

本研究の目的は、高等教育を取り巻く環境が大きく変わり、大学の存在意義すら改めて問われている現在、大学は学生に対してどのような教育を提供するべきか、そして教育成果の指標をどのように設定するべきかを考察することである。ただし、本研究では、大学教育全般について広く扱うのではなく、ユニバーサル化とともに急速に広まったキャリア教育という観点から議論を展開する。  研究の方法としては、京都産業大学の学生を対象としたパネル調査のデータを分析する。この調査は、入学時と4年次に実施し、入学時での意識や態度といった特性面が、就職にどのような影響を及ぼすかを検証する。得られた知見としては、「大学の勉強」への取り組みが重要な変数であった。キャリア教育とのかかわりで見れば、就職に有利に作用すると思われる進路意識や社会的な強みという特性は、「大学の勉強」へ向かわせる変数であることも明らかとなった。  また、これまで教育成果の指標として設定されることが少なかった意識や態度といった特性面が、知識・技能に加えて重要な指標となり得る可能性が十分にあることも検証できた。ただし、教育成果の指標を設定する場合に留意すべき点として、学生の主観的な判断に依拠する方法による場合、その質問の設定のしかたによって、回答が容易に変化をするということがあげられる。  大学の教育力としてのキャリア教育の役割とは、学生を「大学の勉強」に向かわせることである。それは、そもそもは教養教育の役割であったが、キャリア教育と教養教育は「人間としての生き方」という根本でつながっており、キャリア教育、教養教育、さらには初年次教育といったそれぞれの役割がいかに相互補完し、再構築化を進めていくことができるのかが、日本の大学における焦眉の課題となっているといえよう。

1 はじめに 2 本研究の目的と背景 3 研究の方法 4 まとめ

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