自閉症児における書字を用いた要求言語行動の形成とその般化促進 : 物品、人、および社会的機能の般化を中心に

  • 関戸 英紀
    横浜国立大学附属養護学校:(現)横浜国立大学教育学部

書誌事項

タイトル別名
  • Shaping Mands in an Autistic Youth Through Writing and Facilitating Their Generalization
  • ジヘイショウジ ニ オケル ショジ オ モチイタ ヨウキュウ ゲンゴ コウドウ

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抄録

音声言語に障害がある13歳の自閉症男児に対して、機会利用型指導法を用いて書字による要求言語行動の形成を行った。その後、日常場面に書字モードをプロンプトする複数の聞き手を意図的に設定し、そこでの訓練成果の般化の状態から、物品、人、社会的機能の般化を促進するための要件について検討した。その結果、次のことが指摘された。(1)物品の名称の「書字練習」は後の日常場面での反応般化を促進するための必要条件とはならないが、誤字・脱字はそのつど指導していく必要がある。(2)対象児にかかわる人たちに所定の訓練技法(プロンプト)を教示し、対象児に要求事態が生じた時にそれに基づいた対応を要請することは、人への刺激般化および維持を促進する上で有効である。(3)「要求」以外に「応答」、「叙述」、「報告」の機能をもつ言語行動が出現したが、これは要求言語行動が般化したものではなく、要求言語行動形成後、対象児が「サインモード」を「書字モード」にモード変換した結果であると考えられる。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 34 (2), 1-10, 1996

    一般社団法人 日本特殊教育学会

被引用文献 (1)*注記

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