環境的リスク児の早期発見に関する研究 : 家庭環境要因を中心に

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タイトル別名
  • Early Screening of Children with Environmental Risk : Results for Home Environmental Factors
  • カンキョウテキ リスクジ ノ ソウキ ハッケン ニカンスルケンキュウ カテイ

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抄録

日本版家庭環境評価法(JHSQ)により環境的リスク児をスクリーニングし、乳幼児の家族的要因と発達との関係について検討した。対象は10ヵ月時健診を受診し、その後18ヵ月と36ヵ月も受診した乳幼児とその母親である。方法は10、18、36ヵ月の各時点において、JHSQによる家庭環境調査と発達検査を実施した。その結果、(1)10ヵ月時に発達正常でも環境的リスクのある者には、18、36ヵ月時に発達的リスク児の出現率が高く、また10ヵ月時に発達的リスク児で環境的リスクのない者では、18ヵ月時に発達正常になる者の割合が多かった。(2)10ヵ月時に環境的リスク児であった者の中で18ヵ月時に発達的リスク児になった者は、発達正常児に比べて18、36ヵ月時における家庭環境刺激が少なかった。(3)10ヵ月時に発達的リスク児であった者の中で36ヵ月時に発達正常となった者には、18ヵ月時に環境的リスクが改善されている者が多かった。以上の結果から、乳幼児の発達援助のためには、環境的リスクと発達的リスクの両面から子どもを評価することが必要であり、JHSQによる早期の評価とそれに基づく環境の改善は、発達障害の予防となりうる可能性が明らかとなった。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 34 (3), 45-54, 1996

    一般社団法人 日本特殊教育学会

被引用文献 (2)*注記

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