農家林家による森林管理の可能性の検証 : 久万林業地を対象として

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タイトル別名
  • Possibility of Forest Management by the Forest Owning Farm Households : The Case of Kuma Forestry Area
  • ノウカリンカ ニ ヨル シンリン カンリ ノ カノウセイ ノ ケンショウ クマ リンギョウチ オ タイショウ ト シテ

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抄録

農家林家による森林管理の将来展望について,林家の自営力が極めて高かった久万林業地を対象として過去3回実施した農家林家調査結果に基づいて検証した。1998年の調査では,これまで対象にしてきた111戸中36戸について調査が実施できなかった。その理由は,「林業への関心低下」「高齢」「町外他出」等であり,多くは既に森林の管理義務の遂行を果たせない状況にあった。このことがもつ意味を重視し,今回調査できなかった林家とできた林家について,1985年時点での世帯状況と施業実施の状況を比較した結果,前者の林家としての存立条件は,当時既に弱体化していたことが明らかとなった。また,調査を実施できた林家の状況変化について,過去3回の結果を用いて時系列分析を行った結果,調査できなかった林家の1985年の状態は,現在の調査実施林家の状態を先行的に示していることが明らかとなった。これまで,林家が担い手として活躍してきた久万林業地においてすらこのような状況であることを考えると,今後,わが国の森林管理の有力な担い手として農家林家を位置付けることは極めて困難であるといわざるをえない。

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