中高年アスリートの変形性膝関節症に対する関節鏡視下デブリードマン術後アスレチックリハビリテーション

DOI
  • 中澤 加代子
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科
  • 石川 大樹
    特定医療法人社団育成社佐々木病院整形外科
  • 露木 敦志
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科
  • 前田 慎太郎
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科
  • 浅野 晴子
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科
  • 谷川 直昭
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科
  • 園田 剛之
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科
  • 福原 大祐
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科
  • 小寺 麻美
    特定医療法人社団育成社佐々木病院リハビリテーション科

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抄録

【目的】中高年アスリートは長年膝を酷使し変形性膝関節症(以下膝OA)に罹患するケースが多く、しばしばスポーツ活動の継続が困難となる。当院では膝OAを発症した中高年アスリートで保存療法では改善が得られず、MRI撮影を行い半月板損傷の明らかな症例に対し関節鏡視下デブリードマン手術(以下AD)を行っている。また術後メディカルリハビリテーション(以下メディカルリハ)に加えアスレチックリハビリテーション(以下アスリハ)を行い、受傷前のスポーツ活動に復帰する症例を多数経験している。そこで当院で行っている中高年アスリートのAD術後メディカルリハとアスリハを報告する。<BR><BR>【方法】2004年4月1日から2007年8月30日まで当院にて膝OAに対しADを施行した93例95膝の内、35歳以上で受傷前にスポーツ活動を行いスポーツ復帰まで追跡可能であった43例44膝を対象とした。男性19例女性24例、手術時年齢は35~73歳(平均53.0歳)であった。評価項目はスポーツ種目と復帰時期、および受傷前と術後スポーツレベルとした。なおスポーツレベルはTegnar activity score(以下TAS)を用いて評価した。<BR><BR>【結果】種目はテニス11例、サッカー7例、バレーボール5例、社交ダンス4例等多岐にわたった。復帰時期は術後3週~30週(平均17.4週)だった。TASは受傷前5.75点、術後5.65点で、術後に骨壊死様の変化を来した1例2膝を除く42例42膝が元のスポーツに復帰(復帰率97.6%)した。<BR><BR>【考察】種目はテニスとサッカーが多く、テニスは11例(25.6%)で中高年に人気が高く、サッカーの7例(16.3%)は当院が某Jリーグチームの指定病院となっていたために患者数が多かったと考えた。また近年の健康ブームのためか様々なスポーツ活動が行われていた。今回の調査で復帰時期は術後3~30週(平均17.4週)とばらつきが大きい傾向にあったが、これは半月板切除術だけの症例と骨棘切除や軟骨下骨のピッキング等を同時に施行した症例とでは、術後の腫脹や疼痛、関節水腫などが治まる期間に差が生じていたためであった。メディカルリハはアイシング、物理療法等を中心に行い炎症の改善と疼痛の軽減に努めた。炎症期を過ぎてからアスリハを開始し、無理をさせずにスポーツ動作の獲得を個々のスポーツレベルに合わせ実施した。腫脹や関節水腫の出現時は主治医に報告し、貯留した関節液の穿刺およびヒアルロン酸の関節内注入を並行することでアスリハのレベルを維持することが可能であった。中高年アスリートに対しては、個々の年齢や選手レベル、膝OAの程度、手術の内容等を考慮し術後の回復に合わせて適切なアスリハを行うことが重要であると考えた。<BR><BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), C0524-C0524, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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