腰神経叢の多様性と体表解剖学  [in Japanese]

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Author(s)

    • 時田 幸之輔
    • 埼玉医科大学短期大学理学療法学科|愛知医科大学医学部解剖学講座|新潟大学大学院医歯学総合研究科肉眼解剖学分野
    • 佐藤 昇
    • 新潟大学大学院医歯学総合研究科肉眼解剖学分野
    • 熊木 克治
    • 新潟大学大学院医歯学総合研究科肉眼解剖学分野

Abstract

【緒言】腰椎部神経根症状の多様性の原因としていくつかの解剖学的異常が考えられる.今回,腰神経叢と仙骨神経叢に参加する分岐神経の起始分節に着目した.<BR>【方法】新潟大学医学部,埼玉医科大学,愛知医科大学解剖学セミナー実習体のうち7体13側について,分岐神経の起始分節の上方または下方へのずれと腰神経叢との関連を肉眼解剖学的に観察した.また,第12肋骨について,肋骨頭~肋骨の先端(肋骨尖)の長さ,第12胸椎に近い第10胸椎棘突起~肋骨尖の長さを計測し,身長を考慮して,大腿骨大転子~外側顆の長さ(大腿骨長)との比で表した.<BR>【結果】分岐神経の起始分節は,L4から起始する群(L4群)とL5から起始する群(L5群)の2群に分類できた.13側中にL3, L3+L4, L4+L5から起始するものは観察できなかった.L4群は,分岐神経から大腿神経,閉鎖神経,腰仙骨神経幹に参加する3枝間の相対的太さに基づいてさらに3型に分類した.3枝の太さが大腿神経,腰仙骨神経幹,閉鎖神経の順である場合を標準型,3枝の中でも腰仙骨神経幹に参加する枝が大腿神経より太い場合をL4TsL型,腰仙骨神経幹に参加する枝が閉鎖神経よりも細い場合をL4TsS型に分類した(千葉,1994).各型の腰神経叢の所見は, 1)最下端の肋間神経外側皮枝(Rcl)の起始分節:L4TsL型でTh12,標準型でL1,L4TsS型でTh12,L5群でL2であった. 2)最下端の標準的な肋間神経前皮枝(Rcap,側腹壁の内腹斜筋と腹横筋の間(第2-3層間)を通り腹直筋を貫く)の起始分節:L4TsL型でTh11またはTh12,標準型Th12, L4TsS型Th12,L5群L1であった. 3)第2-3層間を走行した後,外腹斜筋と内腹斜筋の間(第1-2層間)を通り外腹斜筋腱膜を貫く浅い経路の前皮枝(Rcas)の起始分節:L4TsL型Th12, 標準型L1,L4TsS型L1,L5群L1であった. 4)第12肋骨の長さ:L4TsL型では触診できず,標準型では(肋骨頭~肋骨尖)/大腿骨長は7.5/37,(第10胸椎棘突起~肋骨尖)/大腿骨長は12.5/37,L4TsS型ではそれぞれ8/31,12/31,L5群では15/36,20/36であった.<BR>【考察】分岐神経は上方からL4TsL型,標準型,L4TsS型,L5群の順で下方へずれていくと言える.この変異に伴い胴体に特徴的な神経であるRcap,Rcl,Rcasの起始分節も下方へずれている.このことは胴体の延長と解釈できる.肋骨の長さが延長していることからも同じことが言える.以上より,第12肋骨の長さを計測する事で,分岐神経の起始分節のずれを推察できる.なお,肋骨固有の長さの要素から身長などの要素を除外する検討も必要である.L5の根障害で坐骨神経領域に加え大腿・閉鎖神経領域にも症状が出現する時,腰神経叢のずれの影響を鑑別する指標として有効である可能性がある. <BR>

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2007(0), A1343-A1343, 2008

    Japanese Physical Therapy Association (JPTA)

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