2001年国際てんかん診断大要案と2006年提言の有用性の検討:成人てんかん患者群での使用経験

  • 木下 真幸子
    国立病院機構宇多野病院神経内科
  • 池田 昭夫
    京都大学医学研究科脳病態生理学講座 臨床神経学(神経内科)

書誌事項

タイトル別名
  • Application of the 2001 diagnostic scheme and the 2006 ILAE report of seizure and epilepsy: a feedback from the clinical practice of adult epilepsy

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抄録

目的:2001年国際てんかん診断大要案と2006年提言の有用性を明らかにする。対象と方法:外来通院加療中(群1)および長時間ビデオ脳波モニターを施行した(群2)成人てんかん患者各100例。群1には2001年大要案(軸1-4)と2006年提言、群2には軸1を適用して特徴と問題点を抽出した。結果:2001年大要案:軸1(発作現象):群1では184項目、群2では333項目が挙げられ、特に術前評価に有用と思われたが、項目の重複や下位分類の不足などがあった。軸2(発作型):1981年分類における複雑部分発作のうち32発作は焦点性運動発作あるいは焦点性感覚発作の詳細が示せたが、意識減損のみを呈した10発作は分類不能となった。軸3(症候群):全体の92%が分類でき、家族性側頭葉てんかんが新たに分けられたが、1989年分類の症候性全般てんかんに相当する項目がなくなり、新皮質てんかんは詳細を示せなくなった。軸4(病因):患者の現状と予後を表すことができたが、一部の項目が不十分であった。2006年提言:発作型と発作現象との対応が不明瞭でてんかん焦点の状態や意識減損の評価が困難だった。症候群では全体の70%が分類されたが、新たに分類不能となったもの・詳細を示せなくなったものがあった。結論:成人てんかんにおいて上記診断案を適用する場合、軸内・軸間での整合性と妥当性の今後の改良が期待される。<br>

収録刊行物

  • てんかん研究

    てんかん研究 26 (1), 57-62, 2008

    一般社団法人 日本てんかん学会

参考文献 (13)*注記

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