「和」と日本の看護倫理

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タイトル別名
  • Harmony (Wa) : The Japanese traditional value and its implications for nursing ethics in Japan

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抄録

目的:日本人の伝統的価値観の一つとされる「和」の意味を明らかにし日本の看護倫理への意義を述べる。背景:看護師が習う西洋の倫理と日本の価値観との乖離、および日本の文化に根ざす倫理的価値の明確化の必要性が指摘されている。方法:「和」を概念分析し、我々の研究データから、日本の看護師が捉える「和」を探索した。結果・考察:儒教を源とする「和」は、各人の個性を活かしそれらを調和して共同体全体の善と成長をめざす、という意味をもつ。儒教は「和」と「同」との混同を戒める。「同」とは、個性のない者が何者にも賛否を同じくすることをいう。「同」と混同され易い「職場の和」は、一部看護師の倫理的意思決定を脅かしていた。他の看護師は、患者のために「和」を用いて行動していた。落着き、温かみ、節度、主体性等を備えたその行為は、「勇気」を強調する欧米の「アドボカシー」概念よりも「和」によく合致した。他の価値観も明らかにし、それらを生かした日本の看護倫理教育を検討していく必要がある。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 17 (1), 74-81, 2007

    日本生命倫理学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (27)*注記

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