デッド・ドナー・ルールの倫理学的検討

  • 児玉 聡
    東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • An ethical analysis of the dead donor rule

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抄録

デッド・ドナー・ルール(以下DDR)とは、「臓器を得るためにドナーが殺されてはならないことを要求する倫理的・法的規則」のことであり、1988年に法学者のJohn Robertsonが、それまで不文律であった規則を定式化したものとされている。この規則によれば、心臓や肺など、vital organ(生死に関わる臓器)を生体から摘出することは、たとえドナー本人の自発的な同意があっても許されない。本論文では主に英米圏の文献の調査に基づき、DDR見直しをめぐる議論の論点を、DDR例外許容論、DDR堅持論(死の定義の変更あり)、DDR堅持論(死の定義の変更なし)の三つの立場に分けて整理した。また、この議論が、脳死臓器移植をめぐる日本の議論にどのような示唆を与えることができるのかについて考察し、DDR例外許容論と違法性阻却論の類似性を指摘し、この立場を改めて議論すべき必要性を示唆した。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 17 (1), 183-189, 2007

    日本生命倫理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (31)*注記

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