多雪地における積雪環境がブナ堅果の生残と稚樹の分布に与える影響―堅果捕食に対する積雪の保護効果の検証―

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Snow Cover on Seed Survival and Seedling Distribution of Beech: Protection from Seed Predation by Rodents.
  • タセツチ ニ オケル セキセツ カンキョウ ガ ブナ ケンカ ノ セイザン ト チジュ ノ ブンプ ニ アタエル エイキョウ ケンカ ホショク ニ タイスル セキセツ ノ ホゴ コウカ ノ ケンショウ
  • Protection from Seed Predation by Rodents
  • —堅果捕食に対する積雪の保護効果の検証—

この論文をさがす

抄録

ブナ林の組成は日本海側と太平洋側で大きく異なり,稚樹バンクは前者においてより発達しやすい。この理由として,日本海側では積雪が野ネズミによる捕食から堅果を保護していると考えた。そこで,春先に消雪速度の異なる母樹の根元付近と根元から離れた場所において,消雪過程と稚樹の分布,および播種試験による堅果の持ち去り程度を観察した。根元周辺の消雪は他の場所よりも1ヵ月近く早かった。これに応じて,実生は根元周辺で少なく,離れた場所で多かった。野ネズミによる堅果の持ち去りも,根元周辺で多く発生し,残存数は離れた場所と有意な差が認められた。したがって,根元で稚樹が少ないのは,消雪が早いことで春先に堅果捕食が多くなったためと推察された。このことは,積雪は野ネズミの捕食から堅果を保護することで,ブナの更新に有利に働いていることを示唆している。したがって,日本海側でブナの更新が良好なことも,積雪の保護効果が一因ではないかと考えられる。

収録刊行物

被引用文献 (5)*注記

もっと見る

参考文献 (54)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ