平ヶ岳湿原におけるハイマツの年輪幅変動とその気候的要因

書誌事項

タイトル別名
  • Fluctuation of Pinus pumila tree-ring width and influence of climatic change at Hiragatake moor, central Japan
  • ヒラガタケ シツゲン ニ オケル ハイマツ ノ ネンリンハバ ヘンドウ ト ソノ キコウテキ ヨウイン

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抄録

群馬県・新潟県の県境に位置する平ヶ岳頂上部の湿原にハイマツなどが侵入している。この原因は気候変動によるものと考えられるが,具体的な気象要素が何であるかは明らかになっていない。そこで,湿原周囲に生育するハイマツの年輪幅の変動と,近隣地域で観測された気温,降水量,晴天日数,曇天日数,降雪日数,年最大積雪深,積雪終日,積雪開始日の各気象要素との比較を行った。その結果,平ヶ岳湿原に成育するハイマツの年輪幅は,前年と当年の夏期の気温,前年の夏期の晴天日数および年最大積雪深との間に負の相関を,前年と当年の春期の降水量および当年春期の雨天日数との間に正の相関を示した。このうち,最も強い相関がみとめられた夏期の気温がハイマツの年輪幅変動の主要因であることが明らかとなった。この結果は,既存の研究結果と異なっていたが,湿原の過湿な環境でハイマツの根が発達することができないために水分不足に陥りやすいためであると考えられた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 49 (1), 9-18, 2007

    森林立地学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (59)*注記

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