『応氏六帖』と『名物六帖』 : 器用箋・器財箋を中心に

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タイトル別名
  • オウシ リクジョウ ト メイブツ リクジョウ キヨウセン キザイセン オ
  • On the Ōshi Rikujō and the Meibutsu Rikujō
  • オウシ リクジョウ ト メイブツ リクジョウ : キヨウセン キザイセン オ チュウシン ニ

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抄録

伊藤東涯には中国の文献からの語を集め六帖に分かった二つの語彙集『応氏六帖』と『名物六帖』とがある。どちらも東涯の語蒐集の意図を契機として成立したものであり、個々の項目を比較すると両者に共通するものも多い。しかし両者は構成の上からも収録されている語の上からも全く異なる道を歩んだと言わざるをえない。本稿では『名物六帖』の中でも唯一東涯の生前に刊行された器財箋と『応氏六帖』器用箋との比較を中心としてこの両者の独自性について考察した。収録されている語数からみれば『応氏六帖』は『名物六帖』のほぼ十分の一にすぎないが、すべてが『名物六帖』に吸収されてしまうわけではない。両者は早い時期に(或は最初から)別れ、別の意図による増補を加えられた。また『名物六帖』内部をみていくと、下位分類を設け、重出を註に示すなど、刊行を前提とした整理が行われていることがわかる。しかし同時に不統一もみられ、『名物六帖』が百三十年間に数次にわたって刊行されたという成立の事情をも考えていかなければならないことが明らかになった。

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