『名物六帖』と『学語編』と

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  • メイブツ ロクジョウ ト ガクゴヘン ト
  • The Meibutsurikujo and the Gakugo-hen
  • メイブツ リクジョウ ト ガクゴヘン ト

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明和九年に刊行された釈大典の『学語編』にはその凡例に伊藤東涯の『名物六帖』の名がみえ、参考資料のひとつであったことが知られる。このことを手がかりとして『学語編』と『名物六帖』とを比較した。『学語編』の「類」を『名物六帖』の「箋」に粗々対応させて項目の一致率をみると人品・器財にあつく、人事にうすいという結果が出た。これは『学語編』出版当時『名物六帖』は人品箋・器財箋の二箋しか刊行されていなかったことと関係していると考えられる。また、『学語編』内部の排列を細かくみていくと、『名物六帖』の影響を受けていると思われる箇所が散見する。しかし同時に両書には重ならない部分も多く、それはこの両書が語彙集として異なる方向をめざしていたことを示す。すなわち『名物六帖』はその名のとおり「物」と「名」とを結びつけることにカを注ぎ結果として具体的な事物をさす名詞が多く収載されているのに対し、「学語編』はもっと広く「語」を集めている。類や箋による重なりの濃淡はその反映であるという見方も可能である。

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